アリンコン納涼寄席・第二夜
死神のお陰で大金持ちに成り上がった男。いい気になって遊んで暮らしておりますと、お金というのは稼がないで使ってばかりだと、どんなにあってもあっという間なくなるもんでね、
男もあっという間にもとの木阿弥のスッカラカン。おかみさんおん出して一緒に暮らしてた若い女も、元々金に惚れてただけだから金と共に消え去ってしまいました。
それじゃぁまた医者をはじめるか、とボサボサして待っていると、時々ポロっと「大先生!」とお客が来る。男は喜んでのこのこついて行きますが、運が逃げた時というのは本当に運がない。行く所行く所 全部が全部、死神が枕元に座っているからたまらない、枕元に死神がいるということは、その病人の寿命が尽きているという意味で、どうにも助けようがない。何人か目で行ったその大店の旦那の枕元にも、やはり死神が・・・・
男はできないと言うが番頭さんから家族から、なんとかしてもらおうと男を引き止めて、お酒やら食べ物やらでもてなしてくれたのが男の人生を変えることとなろうとは、誰も知る由もなかったんですな。
その時に女中さんが男に出したお膳が左右逆だったのを番頭さんが「魚は頭が左、しっぽが右だよ! くるっとお膳を回しなよ」と叱ったのを聞いて、男はひらめいた。
力自慢の若い衆と自分だけ残って所払いをすると、男は「俺が合図をしたら、それぞれ布団の角を持って、頭が足の方に、足が頭の方にくるように、くるっとまわしとくれよ。これはやり直しがきかないからな、しっかりやっとくれよ、いいな!」と指示を出しておいて、死神の様子を見続けました。 いくら死神とは言え、人間の寿命が尽きるまでずーーっと枕元にいるのは辛いもの、特にこの病人のように死が間近にせまっているとなると死神も疲れてまいります。男が様子をみてしばらくすると、死神さん、コックリコックリ船をこぎだしまて・・・。
ここぞとばかりに男が若い衆に目配せして合図にヒザをポーーンと叩きますというてぇと、連中作戦通りに布団の四隅を持ち上げて、布団をくるっと回してしまったからさぁ大変、ハッと目覚めた死神、今の今まで枕元に座っていたはずが、ちょっとウトウトしてる内に足元に座っている。一体これはどうなってるんだ、とパニックになっているところに、男が例の呪文を唱えたもんだからたまらない、
死神さん、何がどうなってるのかわからないまま大慌てで消え去って行きました。
死神が消えると旦那さんの顔色も急に良くなって、むっくり起き上がるといういつものパターンで、驚いたのは家の者たち、あれほど無理だと言われていたのが全快となったらそれはもう大騒ぎ、男もたんまりと礼金をもらって、ホクホク顔で家路についておりましたが・・・
さて、男が死神に連れて来られたのは、暗い暗い洞窟の奥の奥。しばらくの闇の後に、何やら灯りが見えてまいりました。
洞窟の奥一面にロウソクの灯り。暗がりを不気味に妖しく照らしている。そして、このロウソクが人間の寿命だと死神は言う。 そこで勢いよく燃えてるのはお前が追い出したおかみさんの寿命で、まだまだ健康そのもの、その隣りでひときわ元気に燃えているのがお前のせがれ、こいつぁ長生きするぜ。 そんなことを聞かされている男の目に、今にも消えそうなチビだロウソクが。追い出したおかみさんとせがれの隣りにあるそのチビたロウソク・・・ まさか・・・・
死神が「元々はこっちがお前の寿命だった」と指差したのは、たった今死神をだまして助けた大店の旦那の寿命ロウソク。
1度死ぬと決まった人間の伸びた寿命はどこから来たと思うんだ、何もないとこから寿命がはえてくるわけがあるまい、あの時お前はあの瀕死の旦那の寿命と自分の寿命をとりかえっこしちまったんだ。恩を仇で返した報いだ。お前はもうすぐここで死ぬ。本当だったらさっき道端で行き倒れになるところだったのだが、自分がどうして死ぬのかくらいは知りたいだろう、自分の寿命が尽きるとこを見せてやろうと思ってここに連れて来てやったんだ、と死神。 男は助けを乞うが、逆に「初めて会った時、お前、楽な死に方を知りてぇと言ってたな。教えてやるよ。そのロウソクの火を吹き消すんだ。そうすりゃ火が消えると共にフゥっと楽に死ねらぁ フフフフ・・・・」と揚げ足をとられる始末。
なんとか助かりたいと妙な理屈を持ち出した男に、死神は半分燃えたロウソクを差し出して、だったらこのロウソクに火をうつしてみろ、と最後のチャンスを与えます。 燃えガラでもなんでも、今死ぬよりはってんで男は必死で火をうつそうとしますがこれに命がかかっていると思うと緊張して手が震え汗が吹き出し・・・・・



















































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